【料理初心者向け】キッチンに常備したい調味料(基礎調味料編)

こんにちは、kopi rumah主宰 食卓コンサルタントのみつはしさなこです。

今回は調味料についてのお話です。

突然ですが、調味料、みなさんどうやって選んでいますか?パッケージ?味?価格?毎日使っているけれど、実は意外と意識せずに選んでいるのでは。そこで、今回は食卓コンサルタントが常備している調味料を、選び方のポイントとともにお伝えします。

まずは基礎調味料。

基礎調味料と言って思い浮かぶのは「さしすせそ」。つまり、砂糖、塩、酢、醤油、味噌です。これに酒、みりんが加わります。これらは、おそらく殆どの方が常備されていると思います。

砂糖…種類によって特徴や味わいがある

砂糖は大まかに上白糖、三温糖、きび糖、てんさい糖などがあります。てんさい糖以外はサトウキビが原料ですが、精製度合いによって味わいが異なります。すっきりした甘さは上白糖、上白糖よりもコクがあるのが三温糖、コクが強くミネラルを豊富に含むきび糖とそれぞれ特徴があるので、料理や好みで選べるといいでしょう。てんさい糖は甜菜(ビート)が原料で、オリゴ糖やミネラルを含むのが特徴。砂糖と違って優しい甘さのある糖分です。

使いやすいのは上白糖ですが、ミネラルを含むきび糖やてんさい糖もおすすめです。

塩…まずはシンプルな塩があればOK

砂糖以上に種類が多いのが塩。岩塩、湖塩、海塩と言った採れる場所、さらに原産地や製法によって味や成分もさまざまです。プロフェッショナルや愛好家ともなれば料理に合わせた塩をチョイスしますが、普通のキッチンならばシンプルな粗塩や焼塩があれば十分。ただ一点注意したいのはサラサラとした「精製塩」。精製塩は自然塩よりも塩分濃度が高く、同じ量でも塩味が強いです。また塩分過剰摂取にもつながるので、使う場合は控えめに。

精製塩はきめ細かくサラサラしているのが特徴。溶けやすいですが、塩味が際立ちやすい側面もあります。

酢…余計な材料が入っていないもので十分

ドレッシングに、煮物に、ピクルスや漬物に…と用途が広い酢。かけるだけでそのまま食べられるように甘味やだしなどが加えられているものもありますが、用途ごとにいろいろ揃えるよりも、シンプルな食用酢一本あれば十分。用途や好みに応じて砂糖や塩を加えれば、あれこれ買い揃えずに済みます。私の場合は、メインは穀物酢、まろやかに仕上げたいときはリンゴ酢、爽やかに仕上げたいときはレモン果汁を使い分けています。

醤油…最も好みが広い調味料

基礎調味料の中でも用途が広くて種類が多く、好みもさまざまなのが醤油。地域だけでも濃口醤油、薄口醤油、たまり醤油などがあり、さらには減塩醤油やだし醤油など、食べる人の健康状態や食べる料理によっても選ぶ醤油の種類は変わります。こう選ぶべき!と私が簡単に断言することはできないのですが、私、自身が選んでいるのは濃口醤油であること(関東育ちなので)、そして丸大豆を使用していること。

多くの醤油は、一般的に脱脂加工大豆を使用しています。脱脂加工大豆が使われるのには、脱脂加工されている方がうまみが出やすいとか、生産コスト上の理由があるようですが、私はどちらかと言うと、素材そのものから作られる味を味わいたいという思いがあります。

左の醤油が丸大豆使用、右の醤油が脱脂加工大豆使用。ちなみに原材料名は使用量の多い順に記載されています。

味噌…だしや酒精の入っていない「無添加」がおすすめ

味噌は、原材料によって大きく米味噌、麦味噌、豆味噌とあります。さらに食塩や麹の量や割合で味が変わりますし、大豆の種類や加工法、熟成までのプロセスによって色味が変わる、こちらも多様な調味料です。醤油と同じく味噌も住んでいた地域や好みで分かれますが、シンプルに味噌として楽しむにはだしが入っていないものがおすすめです。また酒精は味噌の品質を維持するために加えられているものですが、味噌の中にいる微生物の働きを失活させることにもなるので(だから品質が維持されるというわけなのですが…)、できれば酒精を使わない無添加味噌を選ぶと、味噌本来の味を楽しむことができます。ちなみに味噌の保存は冷蔵庫よりも冷凍庫がおすすめです(冷凍味噌の微生物は活動停止しますが、死ぬわけではありません。無添加でも品質キープはできます^^)

酒…料理酒は食塩無添加を

そのまま飲む清酒と違い、料理酒は原材料に食塩を含んでいる場合が多いです。なぜかというと、塩分を含むことによって酒税がかからなくなったり、酒類販売免許がなくても販売できるなど流通側の理由があります。大事なのはその濃度。ネットで調べた限り、塩分濃度は2〜3%程度だそうですが、これは漬物や海水と同じくらいの濃度にあたります。これをレシピ通りの分量を使い、さらに醤油や塩を加えてしまうと、レシピや想像とはかけ離れた味になってしまう可能性が高いのです。ですので、料理酒を選ぶときは「食塩無添加」とされているもの、もしくは清酒を使うことで素材の味を楽しんだり、自分の思い描いた料理に近づけることができます。

どちらも料理酒として売られていますが、左は塩が入っていない清酒、右は食塩使用。

みりん…みりんとして使うなら「本みりん」

みりんはまろやかな甘さとてりを出してくれる調味料。「本みりん」はもち米、米麹、アルコールを原料に作られますが、中には「みりん風調味料」と呼ばれるものもあります。これは水あめなどの糖類に米・米麹調味料などを加えてみりんの風味に近づけられたもの。こちらも料理酒と同じく酒類販売免許の経緯があって生まれたもので、アルコールは殆ど含まれていません。「みりん風調味料」が悪いとは言いませんが、せっかく“みりん”として使うなら、「本みりん」を使った方がいいのでは、という考えです。

同じ“みりん”でも、原料はこんなに違います。右のみりん風調味料は水あめ(糖類)、調味料、酢使用。アルコール度数も低いです。

私が基礎調味料選びで大事にしていること

ここまでお読みいただいてお気づきかと思いますが、私が基礎調味料を選ぶ上で大事にしているのは、「余計なものが入っていない」「素材がシンプル」ということ。調味料にしても食材にしても、素材本来の味を味わいたいし、自分の子供たちにも、まずは素材そのものの味を感じてほしいと思っています。またシンプルなものを選ぶようになってから、「この味つけでいいかわからない…」と迷うことが少なくなりました。おそらく、シンプルな調味料の方が、必要以上に加工・精製された調味料よりも、一つ一つの味や特性を引き立たせやすいのかなと思っています。

次回は「油編」をご紹介します。どんな内容になるか、お楽しみに!